憐憫の情

2017年1月31日(火)
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庭の水瓶に憩うツグミ

妻は初めての単独での三泊四日のショートステーに昨日から出かけた。こう書いてみると何処かへ楽しく旅行に出かけたと思われても当然だろう。そうであればこれほど嬉しいことはない。最も単独での旅行などは好まないから、僕と一緒の旅であろう。それは望むべくもない夢なのだ。
ショートステーと書けば特別養護老人ホーム、つまり特老で極めて短期間宿泊することなのだ。それは将来老後を施設で余生を過ごすための予備的行為なのだ。今回三泊四日のショートステーにゆくことは出かけるその瞬間まで妻には明かさなかった。事前に知れば激しい拒否に遭うだろうという懸念からだ。だから妻には知られないように三泊四日に備えた下着や衣服をボストンバッグに詰め、必要な薬を種別ごとに分包して準備を前の晩に整えた。
迎えの車が来るまでの間、リビングルームのソファーに二人並んで、静かに手を握り合いながら庭を眺め、ほころび始めた梅の花を『今年は早いね・・・・』と語り合っていた。
門のインターホンが押され、けたたましく感じるベルが部屋に響いた。『さあ玄関に出よう。荷物は僕が持つから靴を履こう・・・・』と促した。意味も判らず素直に玄関に降り立った。ホームの係の方が二人入ってきて荷物を運んでくれた。そこで初めて僕は『これから衣笠ホームにゆくんだよ・・・・・』と妻に話した。その時は別に疑うこともなく係の方に乞われるまま車に乗り込んだ。その時初めて事情を悟った妻は『お父さんは・・・・・・・・』と心細げに僕を何度も呼んだ。あとからゆくよとその場限りの嘘を言って手を振った。ドアーが閉まると激しく窓を内側から僕に向かって叩いた。かまわず車は走り去った。まさに憐憫の情ほだしがたしだ。もっとはっきりと目的を告げ納得させるべきか。しかし納得するとは今の妻では思えない。で、あればこれしかないのか。でも何か憐れだ、可哀想だ。
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